二度と大学院試験なぞやらん(後編)

これは「二度と大学院試験なぞやらん(前編)」の続きです。
前編をまだ見ていないという人は先にそちらをご覧になってください。

前回、僕はTOEICにて予想点数を遥かに上回る高得点をたたき出し、盛大にイキっていました。
しかし今回は大学院試験の特殊なシステムに翻弄される回となっています。

意味の分からない大学院試験システム

4年に進級すると、我々4年生も研究室のゼミに参加することになりました。
ゼミ終わりにM1の先輩に院試に関する質問を投げかけてみると、様々な事実が浮き彫りとなりました。

例えば「院試は基礎科目と専門科目から成り、2日かけて行われる」や
「基礎科目と専門科目はそれぞれ6題用意されており、その中から2題選んで回答する」などであった。
しかしここで、僕は衝撃の事実を知ることになりました。

「TOEICの点数は、うちの大学院で受験すると730点で満点扱いになるっぽいよ」

一瞬「はい?????」となりました。そりゃそうですよ。
TOEICはちょっと勉強すればそれくらいの点数簡単に取れると思っていましたから。

これは実際に公表されているデータではなかったんですが、TOEICの点数が100点上がるたびに
院試の点数は10点ずつ上がっていくという計算だったらしいです。
それで上限が730点で、院試の英語の点数は50点満点になるらしいです。

さらに悪いニュースだったのが、院試の配点で英語が占めるのが250点中50点だけだった
ということです。つまり、院試において英語が点数を占める割合が大して大きくなかったんです。

この事実により結局基礎科目と専門科目をちゃんと取らなきゃいけないことが判明し、
僕は再び弱腰ムーブをかますことになるのでした。

さらに意味の分からない大学院試験のシステムは続きます。

海のごとき広さの試験範囲、アリのごとき短さの試験時間

院試まで残り3か月となったので、そろそろ過去問にも手を付けようかと考え始めました。
大学のホームページから過去問10回分をダウンロードできるらしいので、3か月くらい前から
過去問にも取り組むことにしました。すると、何かおかしいことに気づきます。

1題あたりの試験範囲が教科書2冊分くらいあるということです。

例えば電気回路の科目でいうと、2冊分の教科書が試験範囲として指定されているのです。
変圧器から二端子対網、過渡現象に分布定数線路など、幅広い分野を今まで履修してきたので
仕方がないとは思いましたが、さらにおかしいのが以下の点です。

1題あたりの試験時間が30分しかない

いや、こんだけ対策させといて試験時間30分かよ、と思わず口にしました。
せめて1時間か2時間くらい用意してくれよ、って思いますね…
他の専攻の試験を見てみると基礎科目3時間だとかザラにあったので、うちの専攻なんか変だな…
と薄々感じていました。

再び訪れる極度のプレッシャー

院試の1週間前になると、より現実味が増して緊張感が高まっていきました。
世間的に見たら大学院というのは受かって当然という認識なので、落ちるわけにはいかない、
と勝手に自分でプレッシャーをかけていってしまいました。
また、「落ちたらどうしよう…」という不安からネットで頻繁に

「大学院 落ちる」
「大学院 落ちた その後」

などと検索してはその後の凄惨な光景を思い浮かべて更に絶望するなどと無駄なことをしていました。
体調も極度の緊張感のせいか普段と変わっている気がしました。
大学受験と違って落ちたらあとがないという思いがそうした体調の変化に加担していたんじゃないかと
考えています。

そんなこんなで受験本番を迎えます。

受験本番にして、悟りを開く

いざ受験本番を迎えると、なぜか昨日までの緊張から解放されていました。
おそらく、「今更あがいても仕方ないから、あとはノリで何と?」るだろ!!」
と無意識に開き直ったんだと思います。
そうして試験開始まで指定の教科書を眺めながら過ごしました。

1日目は基礎科目でした。
僕の予定としては、電磁気と数学を解くつもりだったので、試験開始とともにそれらの
ページをめくって確認すると、なんと驚くほど簡単だったんです。

電磁気の問題は、電磁気学履修初年度にやるような導体球周りの電界・電位を求める問題で、
数学の問題は高校でやったようなベクトルの問題がメインでした。

手ごたえとしては8割以上取れたという感じでした。
英語が50点で、基礎科目が80点くらい取れたと感じたので、専門科目は20点以上取っちゃえば
全体で6割取れるので、「あれ?もしかして俺受かったのでは?」と考えるわけです。
しかし採点方式がどうなっているのかわからないため、全体で6割以上取れればいいのか、
基礎科目・専門科目それぞれ6割以上取れればいいのか、などと考えていました。
そうした無駄な皮算用を繰り返しながら、明日の専門科目に向けて最後の対策をするのでした。

いよいよ2日目の専門科目がやってきました。

正直専門科目が一番不安でした。僕は電気工学(システム工学と変圧器の問題がメイン)と
物理専門(量子力学)を選択するつもりでした。
何が不安なのかというと、基礎科目の時と違って解けないと感じたら別の科目に逃げることが
できないということでした。
例えば基礎科目の電磁気学がわからなかったら、保険で勉強しておいた電気回路に逃げることができたし、数学がわからなかったとしても同じように逃げることができたわけです(両方わからなかったら
いよいよ詰みだけど)。
しかし専門科目の場合は、その名の通り専門科目なので、一切履修していない科目もそこには含まれているのです。したがって電気工学か物理専門のどちらかがわからなかった場合にほかの科目に逃げる
ことができないため、あとがないと考えていたのです。

結論から言うと、どちらの科目も見たことない問題でした。

最近の過去問を見ると、電気工学も物理専門もだいぶチョロかったので、今年も似たような問題が
出れば院試は余裕だなぁと考えていたのですが、だいぶ難化していた印象でした。
となると2題とも全く解けないという最悪のケースを思い浮かべたのですが、ここで僕は火事場の
馬鹿力を発揮し、ほとんど解けないように見えた電気工学を9割近く埋めることに成功したのです。
物理専門は最初の2問は確実に解けると感じたのでそこだけ埋めておいて、専門科目は終了しました。

手ごたえとしては6割くらいでした。
ここでまた僕は「全体で6割取れてればいいのかなぁ」だとか「基礎科目・専門科目それぞれ6割取れてなきゃいけないのかなぁ」などと考えるわけです。
考えても無駄なことはわかっているんですが、結果がわからない以上は何かにすがりたくなるので、
こうして根拠のない噂を頼りに精神を安定させていたというわけです。

合格発表があるのが試験から1週間後ということで、この期間は正に地獄のような時間でした。
頭の中が「落ちたらどうしよう」でいっぱいになって、試験勉強から解放されたという事実に
喜べずにいたのです。
しかもこの時期に悪いニュースを受け取ることになります。

それは親知らずを抜かなければいけないということです

これにより僕の脳みその中で「院試 落ちる」と「親知らず 抜く」がぐるぐると回り続け、
精神は限界に近づいていきました。

院試に受かったことが分かり、案の定イキる

しかしその結末はあっけないものでした。
大学のホームページで院試の結果が公表されるだろうとパソコンの前で身構えていましたが、
合格発表の時間になるとアクセスが殺到しているのか、ホームページが落ちたのです。
これにより合格発表を確認できず、どうしようかと右往左往していると、研究室の同期がいるLINEのグループラインから合格発表のpdfが送られてきて、あっさり合格していることが分かりました。

これにより僕は態度が一変し、

「うええええええええええええええいwwwww」

と半狂乱になり、リビングで能を舞いました。
結局僕は院試に受かり、来年から大学院に進むことが決まったというわけです。

結局全部杞憂に終わった

今まで僕はTOEICや院試などでいちいち過度に心配していましたが、恐れていた事態には一度も
なりませんでした。今になって「院試でそこまで警戒する必要はなかったんじゃないか」と
考えるくらいにです。
ですがこれも結果論であって、過度に心配したおかげで十分すぎるくらい対策ができたのかも
しれませんし、「あの時こうしていれば」などという後悔はするだけ無駄なんだと改めて感じました。

僕に必要だったのは正確な情報ではなく、心を落ち着かせてくれる何かだったんだと思います。


近々、僕が院試に合格するまでに無駄に恐れていたことを紹介します。
院試に苦労することになる皆さんの心に響くような記事を書いていきますので楽しみにしていて
くださいね。

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