【前回のあらすじ】
バレー部の大会が終わり、疲れて寝ていたら急に電話で起こされ「O さんが泥酔してます!助けてください!」と要請され、大急ぎで現場に向かうことに。現場に向かうとそこには、泥酔し号泣しているOと、それをなだめている先輩という地獄絵図が出来上がっていた。
前半を知りたいという方はこちらへ。
僕の存在に気づいた先輩は、静かにこちらのほうを向いて口パクで
「ごめん!ありがとう!」
と言いました。おぉ~ん、と思いましたが、とりあえず早く帰りたかったのでこの状況がなんとかならないかと思っていましたが、先輩が「ほら、○○(僕の名前)が来たよ。帰ろう。」と言います。
ですが O は釈然としない様子でした。どうやら僕には来てほしくなかったようです。
この時点でブチギレそうでしたが、なんとか怒りを抑えてその場に居続けました。
しかし O はもう行くしかないと思ったのか、ようやくその重い腰を上げるのでした。だがそこからが地獄。帰り道はおよそ4km近くあり、3,40分かけて泥酔したこの女を慰めながら(ほとんど先輩がやっていたが)歩いていくのでした。
事情を聴くと、どうやら先輩と O は大会帰りで同じ車に乗っており、先輩は O ら後輩に酒を飲むことを勧めたそうです。そしたら O はレモンサワーを浴びるように飲んだらしく、ベロベロに酔っぱらったそうです。ただそれだけでは号泣するには至らず、問題を複雑にしたのは O と同じ車にいた同期 S (仮名)の存在でした。
S は O にとって最もお気に入りの存在であり、酒の席にいたとき O は非常にご機嫌だったとのことでした。しかし S は当時車の免許を取得中であり、翌日に実技を控えていた S は念のため早く帰宅することにし、早々に O たちと別れることになったのでした。
これが O にとっては、「S に帰られてしまった」と感じたらしく、そこからなぜか「私は同期に嫌われている、うあぁぁぁ」と号泣するに至ったというわけです。
しかし当の同期が目の前に現れても O は喜ぶでも安堵するでもなく、「これじゃない」感を漂わせていたのでした。つまりこいつは、「自分にとって都合の良い人間」のみを同期と認識しているということです。それを感じ取れてしまったので、僕は「ムキーーー!!」となってしまったのです。
こいつにはもう一人お気に入りの同期がいます。それが N (仮名)です。O はなだめている最中に何度か号泣することがありました。そうした時に、O が電話を掛けたいと言い出したのです。
しかし時刻は10時近くになっており、大会で疲れているため電話に出てくれる人はほとんどいませんでした。そんな中出てきたのが O のお気に入りの N だったのです。N が電話に出ると、O の目はまさしく女の目をしていたのです。
無機物を目の前にしてメスと化している様はとても気持ち悪くて見るに堪えませんでした。O はスマホを枕にして満悦の様子でした。
そんなこんなで帰り道が中盤にまで差し掛かったところで、第3次の号泣が始まります。O はそこで、よくわからない本音っぽいことを言い始めます。
記憶が薄れかけていますので当時の言葉通りではないですが、O はこんなことを言っていました。
「もぉほんとに私は同期のみんなのことが大好きでぇ~、だからほんとに怖くってぇ~」
「今日もみんな試合に出ててかっこよかったしぃ~、□□もスパイクいっぱい決めててかっこよかったしぃ~、◇◇もめっちゃうまくてかっこよかったしぃ~、△△もブロックとかクイックかっこよかったしぃ~、▽▽もサーブ決まっててかっこよかったしぃ~、××もレシーブかっこよかったからぁ~」
ここで O の主張は終わりました。試合に出ていた僕の名前は出ていませんでした。
隣にいた先輩は慌てて、
「え!? ○○(僕の名前)は?」
とすかさず質問します。すると O は
「○○(僕の名前)は今日試合出てなかったから分かんなぁい」
と言いました。我々シラフ組は困惑します。O はその日試合に出ていた同期の名前すべてをしっかり覚えていました。 僕を除いて。
シラフ組は、また変なことを言って O を泣かせたら面倒だから何も言えずにいます。するとそこにすかさず O は追撃で
「○○(僕の名前)はぁ~、はっきり言ってAチーム(レギュラーチーム)の実力ないよねぇ~」と言い放ちました。
これはおそらく本音なのだろうと感じました。なぜなら泥酔していて嘘をつくだとか、冗談を言うなんてできるはずがないですからね。
僕はひたすら早くチャリに乗ってさっさと帰ってしまいたいと思っていました。もう既に家に帰っていた状態から、わざわざ良心で泥酔した O を迎えに来たというのに、当の本人から礼も言われずただただ罵倒されたのですから。
そこからのことは全く覚えていません。あまりのショックに僕は放心状態でそのまま自宅に着きました。
ふと時計を見ると時刻は11時。本当であればゆっくり家でくつろいでいたはずなのに、罵倒されるためだけに外出することになったのです。僕は打ちひしがれ、一筋の涙をポロリと流すのでした。
O は当時のことを全く覚えていなかったとのことです。当然、出迎えに行ったことへの感謝や、罵倒したことに対する謝罪など一切ありませんでした。O らしいです。
そこから僕は一切 O と関わるのをやめました。そしてそれは次第に同期全員へと伝染していき、示し合わせたかのように皆 O と距離を取るようになりました。おそらく、中学高校もこうして何かとてつもない失礼な行為を何度も行って、友人が離れていったのではないかと考えてしまいました。
そして年が明けて、先輩らの代の人間が引退することになりました。そこでマネージャーは、引退する先輩の分も含めて全てのバレー部のプレーヤーに対し手紙を渡すことになったのです。
当然 O からも手紙をもらうことになりました。ほかのマネージャーからは、「ケガしないように頑張ってね」とか、「一緒にバレー部やってきて楽しかったよ」などというねぎらいの言葉が書き記されていましたが、O の手紙に書かれていた内容はそうではありませんでした。
以下は手紙に書かれていた内容を抜粋したものです。
「去年わたしの誕生日のときはまだ○○(僕の名前)のこと知らなすぎて『○○のいいところわからない』発言をしてしまったんだろうなと思っている。反省はしてるけどそのときのわたしは実際そう思ってたんだと思います。」
いろいろツッコミポイントはありますが、まず事件が起きたのが10月31日のハロウィンの日で、その次の日がちょうど O の誕生日だったのです。だから私の誕生日のとき、と言っているのです。
あと、半年近くしてようやく向こうから当時の事件について触れてくれたわけですが、反省しているとだけ言って、結局謝罪はもらえませんでした。口で言えないから手紙を使ったんだろうに、手紙ですら奴は謝ることができなかったんです。そうです。奴は謝ることができない人間なんです。そういう人間性なんだというのは、バレー部に3年以上いて身に染みて分かりました。
結局モヤモヤした気持ちを抱えながら引退することになりました。ですが復讐したいとかは一切思えず、ただただもう二度と関わりたくないの一点張りです。
これがハロウィン事件の全貌です。当時はただただ地獄で、なんでこんなクソみたいな環境に入ってしまったんだと後悔していました。ですがいざ部活をやりきると、「なんだかんだ言って辞めずに引退できてよかったな」と思っています。世の中にはこんな人間がいるんだという勉強にもなりました。
ただもう二度と入りたくないですね。100万積まれても入らないです。
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